【 づくりをする 】

庭づくりにおいて、敷地の広さや形、敷地の周囲の状況、日当たり、通風、土質、排水、建物の位置などの立地環境条件は考慮すべき重要なポイントです。
<敷地や立地などの環境条件を知る>

例えば、草花や樹木、野菜、芝生などを庭づくりの中にとり人れるとき、日当たりや通風、排水、上壌など植物に必要な条件が整わないと花が咲かなかったり、実を結ばなかったり、植物の生育も悪くなります。
通風や日照が充分に得られない場合は、樹木や草花を植えるより石を主体にした庭づくりをするなど、その場の条件に応じた対処をしなければなりません。

また、隣家の窓がどの辺にあるか、塀はどうなっているか、道路が敷地の南側にあるか、北側にあるかなど道路と敷地の位置関係、電柱がどこに立っているかなど隣家を含む周辺の環境条件にも気を配らなければなりません。

そして、その敷地のよいところ、悪いところをすべて数えあげて、少しでも有利なところを発見するようにして、プランに活かすようにします。
大切なのは敷地の条件をよく考慮して、最も欲しいものを優先させ、他は我慢するなど選択を行なうことです。
<地形を活かした庭づくり>

庭の立地条件によって、庭の機能や樹木の選定などにさまざまな制約を受けざるを得ませんが、制約を無視して、立地条件に合わない庭づくりをすると、後で手直しなどが生じ、それに伴う労力や費用もばかになりません。
しかし、地形を上手にいかせば魅力的な庭づくりができます。

斜面や段差のある地形なら、斜面を登り降りするための階段をアプローチをかねて石でつくったり、岩や石を積んでロックガーデンをつくり、垂れ下がる植物を植えたり、水の流れをつくったり、傾斜地ならではの楽しみ方があり、平坦な庭よりも変化のある庭づくりができます。
日当たりが悪い狭い場所でも、塀をラティスで囲い、これを庭の背景としてとり入れ、ステップ石や枕木を配置し、日陰に強い草花を植えれば、素敵な洋風の庭になります。
さらにラティスには日陰に強い植物を植えたハンギングバスケットやハンギングポットを吊るし、ステップ石の代わりにレンガタイルなどで舗装して観葉植物の鉢を並べて洋風に仕上げることもできます。
(和風なら)同様に竹垣で囲い、飛び石を打ち、玉砂利を敷くことで風情ある庭になります。

【 と建物との調和 】

建物に洋風と和風の建築様式があるように、庭にも洋風庭園と和風庭園があります。
また、日本庭園と洋風の庭園を上手に組み合わせてつくった和洋折衷の庭もあり、家づくりと同様に現在の庭づくりの主流になっています。
<住まいの一部としての庭>洋風の住まいには洋風の庭、利風の住まいには和風の庭と厳密に考える必要はありませんが、庭は住まいの一部で、庭と建物は一体のものですから、住む人に便利であることはもちろん、建物との調和を図ることも大切です。

建物と庭のデザインや素材、質感などが違うと、統一感がなく、なんとなくしっくりこないなど違和感をもつことになります。
庭木ひとつをとっても、特に洋風の木、和風の木というような区別はありませんが、住まいの雰囲気に合った木を選ぶのも大切なポイントです。

選び方でそれらしい雰囲気づくりができるからです。
<洋風の建物に合う庭>

洋風の建物に日本風の松の木を配しては、だれが見ても違和感を覚えるでしょう。
最近のモダンな洋風の建物にはそれに合う従来の日本の庭づくりとは違った庭のデザイン、素材があります。
多くは、芝生の中に花壇をあしらい、バラなどのつる性植物を絡ませたパーゴラや、レンガや敷き石を張ったテラス、ウッドデッキなどを設置した庭で、その庭が小さな子供の遊び場にもなり、園芸作業なども楽しめ、家族団欒の場所となるような"アウトドアリビング" 的な考えのもとにつくられています。
なので、四季折々の草花の種類や性質などを、よく知ったうえでつくることが出来ればかなり素敵な庭にできます。

庭木でも洋風の庭に人気なのがゴールドクレストやコニファーなどで、自然のまま放任しておいても、樹形が円柱形や球形、円錐形、ロケット形などにある程度は整います。葉色も明るくバラエティーに富み、人目を引き強烈なインパクトを与えます。
芝生や草花ともよく合い、花壇へ植栽しても美しくまとまります。
洋風位宅にマッチする生け垣にもなります。

【 和風の建物に合う 】

現代の生活は和洋折衷が当たり前になっています。
住宅の中には畳敷きの和室と、テーブル/椅子式のダイニングルームや、ソファーなどを置いたリビングルームが同時に設けられています。

そうした住居が一般的なのですから、庭についても洋風だから・・、和風だから・・と決まりきった考え方をする必要はありません。

とはいえ、やはり純和風の住宅には和風の庭が似合います。
日本の庭づくりの“お手本”とされるのは、白然の風景そのものです。
水の流れる音や、木々の梢をわたる風のそよぎなども含めた自然の姿を、限られた空問の中に再現する和風の庭は、眺めているだけでほっと心をなごませる魅力があります。

利風の庭は、木と石と水から構成され、本格的に取り組むには決まり事もあり、それなりに高度な技術も必要になりますが、「和風の感じ」を楽しむだけなら、決してそう難しくはありません。

たとえば、水鉢、灯籠などを片隅に配置すると、落ち着いた雰囲気のある和庭になります。
和風の庭の良さは、日陰の多い小面積のところでもつくれるという大きな特徴があります。
利洋折衷の住宅でも和室の前には和風の庭をつくるとよいでしょう。

庭の中の仕切りや垣根に使う竹垣、庭の通路に歩幅に合わせて置く飛び石、その周辺に和風の砂利や趣のある木や下草を配して和室から眺める小さな和風の庭は、心の落ち着く空間になります。



<建物との調和のある庭を考える>

洋風の建物には洋風の庭、和風の建物には和風の庭と厳密に考える必要はないが、統一感をもたせ違和感のない庭づくりを考えよう。